いしりとは
(いしるともいいます)能登半島先端部、奥能登地方に古くから伝わる魚醤のことで、秋田のしょっつる、香川のいかなご醤油と並ぶ日本三大魚醤のうちの1つです。能登のいしりは大きく分けてイカいしりとイワシいしりがあります。カネイシのいしりは、そのうちのイカいしりになります。冬の寒い時期にイカの内臓をよく塩と合わせ、タンクに漬込みます。その後何度か攪拌を繰り返し、底に溜まった黒い液がいしりとなります。
海外ではタイのナンプラーや、ベトナムのニョクマムなども魚醤に分類されますが、カネイシのいしりは、これら海外の魚醤よりも熟成期間が長く、手間暇をかけてじっくりと作り込みます。寒暖の差と湿度の変化に富んだ能登の四季のなかで、約1年半以上じっくりと熟成してから出荷するため、イカの風味が充分に沁みこんだ芳醇な風味のいしりとなるわけです。
伝統的ないしりの調理例
い し り 鍋 |
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いしりを昆布と鰹だしで割った出汁を作り(この際のいしりの分量はお好み次第)それに白菜、大根、ながねぎ、きのこ、じゃがいも等を煮て、やわらかくなったら、イカの輪切り、かわはぎ、わたりがに等をお好みの量でいれて、再度煮込みます。材料がやわらかくなったら、仕上げにみつばをちらして出来上がり。
このレシピは、能登地方の最もオーソドックスな召し上がり方です。それぞれの御家庭でこれまで召し上がって見える鍋料理(特にちり鍋のような海産物を具財としている鍋料理に少量(最初はほんの隠し味として少量垂らし、徐々にお好みの味覚に調整される事をお勧めします)入れてみれば、新たな味覚の発見に繋がると思います。
いしりの干物(一夜干し) |
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イカや青み系の鮮魚(あじ、いわし、サバなど)にいしりを30分ほど漬け込んでから一晩干して焼く。
好みに応じてみりん等、他の調味料と組み合わせても可。
上記の魚種に加えて、かれいやメバル(ハチメ)小鯛などの魚に下味として漬け込んで干物にされても美味しいかと思いますが、いしり自体の塩分濃度が非常に高いため、みりんや酒精といった「甘み系」調味料と合わせて下味用のたれを作られても美味しいかと思います。味覚はご利用される方次第。お好みの味に調整して御利用下さい。
いしりの貝焼き |
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器として帆立貝の殻を使い、それにいしりを昆布と鰹だしで割った出し汁に大根、ながねぎ、きのこ、なす、貝割れ菜、イカ、海草、えびなどを入れ、煮込む。
これはホタテの貝殻を器として利用した昔から能登に伝わる素朴な召し上がり方です。ご家庭でもこのような器がない場合、底の浅い容器をそれに見立てて調理されても結構かと思います。
山 菜 の 漬 物 |
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山菜(わらび、こごみ、ふき、水ぶき)をゆがき、いしりに酒、みりんを加え一夜漬けにする。あまり長く漬けておくと辛くなる。
※いしりには旨み成分と呼ばれるグルタミン酸といったアミノ酸が非常に多く含まれており、繊維質の山菜などの旨みが増します。
使い方はみなさん次第
最初にも述べましたが、いしりは調理素材です。たくさんのお客様にお届けすると、様々な調理方法を伺うことができます。パスタにイカやきのこを絡め、いしりで風味付けをして最後に上に針海苔を散らした【いしりの和風パスタ】や、イカスミスパゲティの味付けの隠し味として使ってみたり、八宝菜風の中華料理にいしりを加え、イカの風味を強く出した【いしりの中華風炒め】などなど…このような料理に使われるお客様は、いしりを全く知らない、能登以外のお客様が自由に応用されて見えるようです。
そもそも原材料としてイカワタを使っているだけに、特にイカを使った料理との相性は抜群です。
みなさんも自由な発想で、いしりを料理に応用されてみてはイカがですか?
お料理に合わせて色々ないしりをご用意しています。