串焼きの作り方「メガラス」(その2)
2008.03.10
(その1)で説明した「メガラス」を使って
今回は「メガラスの串焼き」を作ってみましょう
「メガラス(めんがらす、とも言います)」とは能登地方での呼び名でイカの口のことを言います。
このメガラス一見団子のようにまん丸ですが、ある意味筋肉の塊のようなものです。
なので食べるとイカの風味とともにコリコリした触感を味わえる珍味であります。
これを串焼きにして食べる方法を説明しましょう…
①まず、メガラスの口ばし(爪)を取り除きます。
取り除き方は、片手でメガラスをつまみ、もう片手で爪の先をひっかけながら
つまんでいる手でかるく押してやると、爪が「ぬるっと」出てきます。
上下2つの爪が出てきますが、その際に注意しなければならないことは
つまんでいる手に力が入りすぎると爪が中で折れて中に残る可能性があることです
あまり力を入れずに「するっと」抜き取るのがコツです。
②次に口ばしを取り除いた後の身を洗います。メガラスの内側は
触ってみると分かると思いますが、「ぬめり」がありますので、それを洗って除去します
爪を取って洗浄したメガラスを、串に刺します。
一串あたり何個でもかまいませんが、私たちは大体5個程度刺します。
刺した状態はこんな感じですね…
③メガラスは焼いた状態だけだと中に火が通りにくいので、軽く塩茹でして
芯の部分にまであらかじめ熱を通した方が美味しく召し上がれます。
幸い小木港には海洋深層水の取水施設があるので、そこで汲み上げた
原水(海水そのもの)で浜茹で風に茹でておりますが、一般家庭の場合は
単に食塩水を作ってそこに茹でても結構です(塩分濃度は2~3%程度)
画像では海洋深層水で作った「能登の塩」を使ってみました…
④仕立てた塩水を火にかけて沸騰した時点で、串に刺したメガラスをお湯に投入します。
先にも述べたとおりメガラスは筋肉のかたまりみたいなものですから、あまり長時間
お湯にさらすと、思った以上に縮んでしまいます。なので感覚としては「さっと湯に通す」
程度でOKです。短時間でもお湯で茹でれば中まで熱は通ります。
茹でた直後の状態です。最初の「ダラッとした状態」から縮み上がっているのが分かると思います。
この状態でもそのまま召し上がることは可能です。ほのかに塩味が利いてとても美味しいです。
ただ、今回はそれから更に一工夫加えて串焼きにします。
⑤「一工夫」というより「一手間」ですね。風味付けのため私の場合はコショウを少々まぶします
(お好みによっては七味唐辛子やカレーパウダーといった他のスパイスをまぶして
バリエーションを増やしても面白いかもしれませんね…)
後は表面に軽く焼き目が入る程度まで炙れば完成です。
七輪なんかで炙れば手でクルクル回せますが、家庭用のオーブンなどは
串が焦げ落ちない程度に軽く炙ればOKです。この場合でも炙りすぎると
身が小さく縮んでしまい、触感自体も硬くなってしまいます。
この料理もどちらかといえば酒の肴ですが、子供にも大人気の逸品です。
但し、お子さんに食べさせるときには串に刺した状態では串先が尖って大変危ないので
あらかじめ串から抜いてあげた方がいいと思います。
また、塩茹でした後の工程ならば、フライパンでバター炒めをして仕上げても
とても美味しく召し上がれます。
作り手の調理次第で様々なバリエーションを用意できる「メガラス」
珍味中の珍味であります。