梅雨 発酵の季節【いしり】
2011.06.24
梅雨は、能登の発酵食品にとって欠かせない季節です。
カネイシの蔵も劇的な変化が始まりました。
今年の梅雨入りは例年よりも遅いと思っていたら、九州に大雨をもたらした梅雨前線が北上してきて能登も土砂降りの梅雨空に・・・本当にこの頃の気象変動は極端です。
ただこの梅雨空は、カネイシが作っている「いしり」や「鯖の糠漬け」といった能登の発酵食品にとってみれば、欠かせない気候条件であります。
春になる前の肌寒い季節にイカワタと塩を合わせて仕込んだタンクは、この季節に劇的な変化をみせます。
発酵が始まってくると、タンクの表面が盛り上がってきます。それを撹拌してやると、ブクブクと泡が出始め・・・
やがて表面からもっときめの細かい泡が出始めます。そして・・・
元のタンクの状態から体積は一気に膨れ上がり、表面はまるでビールを注いだような泡が広がります。
まさにこの状態は発酵が盛んに発生している証拠であります。
いしりの旨みにはこの乳酸発酵が欠かせません。研究調査の結果、カネイシのいしりには蔵に根付いている「家付き酵母」が作用して、このような劇的な乳酸発酵が現象として現れることが実証されております。
静かな蔵でじっくりとした時間が育むイメージが強い「いしり」の熟成ですが、これから夏場にかけては、このようにダイナミックな変化を経て、コクのある深い旨みに仕上がっていくのです。